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2011年9月12日月曜日

現代の『知のDJ』

かなり面白いコラムがあったので全文を掲載。
原文はコチラから http://bit.ly/reqfTx






















“キュレーション”のアイデアは、情報過多時代の救世主!? ━━ 電子の泉

ソーシャルメディアが全盛となり、単純にカテゴリーを分類するだけではなく、ネットに溢れるコンテンツそのものを“キュレート”しようという動きが顕著である。そんなIT業界で話題の「キュレーション」とは?


このところ、IT業界で流行っている言葉として、「キュレーション」というものがある。美術館の学芸員のことではない。

厳密に言えば、「コンテンツキュレーション」のことだけれど、どういう意味だろうか。それは数ある情報のなかから、優れたコンテンツを選りすぐり、テーマや関連性に基づいて再提示したり、共有し合う行為を指すものだ。ウェブ2.0という言葉が流行ったときの、フォークソノミーという概念がこの“キュレーション”を準備したと思う。

フォークソノミーというのは、“民衆の”(フォーク)と、“分類”(ソノミー)が掛け合わされた造語だ。それは、一方的に分類されたものではなく、ユーザーがコンテンツに好きな分類名(タグと呼ばれる)を付けて、検索の便宜を共有するもの。また、ソーシャルブックマークのように個々のブラウザのブックマークを共有しようという流れもあったよね。

そして、今ソーシャルメディアが全盛となり、単純にカテゴリーを分類するだけではなく、ネットに溢れるコンテンツそのものを“キュレート”しようというわけだ。個人的には、「編集」でよくね? と思うけど、何やらすでに定着しつつある(笑)。

そんなコンテンツキュレーションの盛り上がりを加速させたのは、ツイッターではないだろうか。リアルタイムで情報が並ぶようになり、文脈が追えなくなるためだ。いずれ、カリスマ・コンテンツキュレーターなんて人が出てくるかも。1980年代ならテキストジョッキーなんて言葉もあったけれど、コンテンツキュレーションこそ、現代の“知のDJ”といえるだろう。DJはツールの進化とともに大衆化を果たしたけれど、コンテンツキュレーションも同様だ。

本連載でも紹介したことのある、自分だけの新聞を発行できる「Paper.li」もそんなツールのひとつだ。それは、気になるツイッター等から情報を得て、新聞の紙面に似たインターフェイスで情報を再提示するというもの。もうちょっと本格的なものだと「Storify」がある。気になるテーマがあれば、ウェブ上で検索をかけて“ストーリー”と呼ばれる、そのテーマに基づいた関連の記事を再編し、自分だけのタイムラインを簡単に作成・共有できる。

そして、最近、筆者がお気に入りなのは「Summify」。これは新しい方向性を示唆している。自分の嗜好との関連性が高い記事を要約して、自動的に届けてくれるツールだ。例えば1日に5本だけ記事を届けるというように、情報洪水のなか、本数自体を絞り込もうという発想がよい。そして、スマートフォンに関連性の高そうな記事を届けてくれる「my6sense」というツールもある。

まさに百花繚乱といった感のコンテンツキュレーション・ツールだ。そして思うにこの潮流がメディアのアンバンドル(非梱包)を加速させるのではないか。つまり、コンテンツは旧来の「雑誌」のような括りよりも、記事単位であらゆるキュレーションのなかに放り込まれていくだろう。そして、コンテンツの新しい流通網はキュレーターを軸として広がるだろう。でも、今度はキュレーターだらけになりそうだから、「キュレーション番長」が必要かな……。

文・小林弘人
『ワイアード』『サイゾー』『ギズモード・ジャパン』ほか、多数のメディアを立ち上げる。東京大学大学院 情報学環教育部の非常勤講師。『シェア』の解説・監修を担当。

GQ TALK DIGITAL 電子の泉 (小林弘人)より



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